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SNSで厳しい広告規制…仮想通貨、これから一体どうなるのか






Facebookが感じ取ったリスク

大手出版社の担当者の方から聞いた話であるが、最近、FacebookやTwitterに講演会などの広告を出すときに、「仮想通貨」やその関係の用語が入っているとそれだけで、拒否されるようになったという。商品ではなく基盤技術であるはずの「ブロックチェーン」という単語だけてもそうなるという。

広告を送ってみると「今度やったら取引を切る」といった強い警告が返って来るそうである。

特に、3月に行われたアルゼンチンG20以降はその傾向が強まっているという。筆者は認識が甘く、そこまでの事態になっていることとは知らなかった。
 
「仮想通貨管理」では、日本は、先進国の中でも資金決済法を改正することによって、法的にカバーを始め、早目に対応した、と認識していたが、そうではなかったようである。

たとえばクレジットカードで仮想通貨の購入を禁止することも、日本は他の先進国と比べて最近になってからである。たしかに、そもそもクレジットカードは借金であり、借金をしてまで投機的な商品を購入するというのは、社会的にもリスクの高い行為と理解されよう。

3月20~21日、アルゼンチンでG20(20か国、蔵相・中央銀行総裁会合)が開催された。そこでは、米国や中国の話も出たが、仮想通貨についても主たるテーマであった。

G20では仮想通貨について「そもそも通貨ではなく資産である」、仮想ではなく暗号であり、「暗号資産」と確認された。これはその前に黒田日銀総裁が「仮想資産」とコメントしたのをさらに一歩進める展開であった。

ただ、本稿においては、取り合えず「仮想通貨」という言葉を使うこととする

筆者が昨年5月31日付でこの欄で公開した記事(「仮想通貨は通貨ではない、まして金融商品ですらない」)以来、何度も説明したように、仮想通貨は制度的に管理されている法定通貨ではなく、単なる投資対象でしかない。

「通貨」という言葉の使用は、あきらかに投資家の誤解を招く性質のもので、今回のG20のメッセージは、適切でかつ重要なものといえる。

FacebookなどSNS各社は、最近、そのビジネスのあり方の反社会性が指弾されているせいか、スキャンダルの可能性を持つ広告や投稿への過敏、過剰な反応が目立っている。

とはいえ、彼らの反応は、仮想通貨の表記やイメージとその商品性の間の格差に、従来の金融商品スキャンダルと同種のリスクを感じ取ったのはたしかであろう。



規制のさまざまな方向

この仮想通貨については国によって対応が分かれている。

新興国で海外に資金の流出が懸念される国ほど厳しくなっている。中国は禁止、ロシアも規制が厳しく、韓国も規制強化の流れである。

中国は、最盛期は仮想通貨の約9割の取引高を占めていたが、資本(おカネ)流出を防止するために昨年の9月に全面取引を禁止した。

韓国では、いまだに仮想通貨が高価格(キムチ・プレミアム)を維持しているという特徴がある。これはこの国の社会構造に原因がある。いわゆる貧困層の若者が仮想通貨の値上がりに掛けていたのである。

米国の場合は興味深い。

筆者は個人的な意見として、フィンテック(この言葉自体がやや古い感がある)における仮想通貨等は、外国為替の手数料が高く、手間もあるだけに、この分野では可能性はないことはないと考えている。

米国の商業銀行では外国為替業務は、本業の一部として世界的に展開している。そのためか、米国では商業銀行の仮想通貨利用は規制の方向である。

一方、投資銀行は扱う金融商品は資産として価格変動を当然のものとして見込んでいる。そのため、投資銀行の仮想通貨取り扱いは認可の方向である。

ブロックチェーンは金融に不向き

G20においては、「ブロックチェーンと仮想通貨は分けて考えよう」とも公式にコメントされていた。このようなコメントが出るということ自体が、仮想通貨とブロックチェーンが一緒であると考えられていることを物語っている。だがその結びつきが強いことも事実である。

2009年に仮想通貨の一種、ビットコインの技術としてブロックチェーンが紹介されて9年が過ぎた。実証実験はよく聞くが、ブロックチェーンが仮想通貨以外で、主たるモノで実用化されたという話は聞かない。

誤解してほしくないが、筆者は新しい技術がすべてダメといったいるわけではない。逆に新しい技術はどんどん活用すべきと考えている。ただし、技術でも、向いているものや、向いていないものがある。

ブロックチェーンは「書き換えられない」という点が最大の特徴であり、強みであるが、逆に弱みにもなっている。本人確認の問題もあるが、コインチェック事件では、お金のある口座(ウォレット)は分かったが、取り返す(取消し等)ことはできなかった。

ネムにはモザイクという優れた機能があり、タグをつけて追跡ができた。しかし、結局、580億円が闇に消えて行ってしまったようである。追跡をするホワイトハッカーが注目されたが、残念である。NEM財団によって追跡の終了宣言も出された。

ちなみに、ブロックチェーンは新しい仮想通貨ごとに進化していった。コインチェック事件で有名になったNEM(ネム)にしても、そもそもはNew Economy Movementというプロジェクト名で、仮想通貨(単位)の名前もXEM(ゼム)であった。



現行の「金融インフラ」での取引は件数も桁違いに多いし、取消や訂正も多い。たとえば日本の場合、振込を司る全銀システムは一日約600万件、東京証券取引所では約1憶件を取り扱う。これをブロックチェーンで行うのは、実質的には無理で、実用化の予定はない。この欄でもたびたび書いてきたが、ブロックチェーンは金融に不向きなのである。

しかし、金融でも単発の私募債(代り金受取)のようなシンプルな限られた取引には使える可能性はある。

また、広く見れば、例えば、住民票や土地の登記などにも使える可能性がある。国会の議論で、ブロックチェーンは書面の改竄できないから、使用すべしという議論があったのも一部頷ける。

もっとも、課題であったハード(メモリー)の節約点も、そもそもの値段も安くなってきた。固いチェーンで繋がれて一部の修正ができないシステムは、実をいうと、現場では使いにくい。金融の現場を分かっている人であれば、金融には不向きであると分かるはずであった。

中央集権型に向かう金融

ブロックチェーン技術については、全国銀行協会(全銀協)でもプラットフォームを作り、実証実験が可能なようにしている。フィンテック対応として、検討は出来るようになっている。

当初、ブロックチェーンを使ったビットコインなどの仮想通貨は「通貨発行」の観点から、発行量が限られていて、先進国の法定通貨のように金融当局による量的緩和などはしない、皆で監視しあうという「分散型」の構造が特徴だった。

そのため、2013年のキプロス金融危機において、国の手が及ばない資金の逃避先として注目された。この点、中央集権的なNEM財団の存在は、XEMの「分散型」のメリットを弱めはしないか。

しかし、最近では、日本の金融業務は、マネーロンダリング対応(本人確認を含む)、サイバー攻撃対応、そして経営的な管理強化のため、コスト削減のためにも、集中化が図られている。

たとえば三菱UFJ銀行も集中化し、セキュリティの高いアマゾンにアウトソース(クラウド)した。日本銀行の日銀ネットは中央集権型のシステムの最たるもので、決してブロックチェーンは使わないであろう。

先に述べたように、G20で規制強化の方向が固まった。日本では仮想通貨については改正資金決済法によって、モノ(財産的価値)と定義された。筆者は当初、モノと定義することは所管としては商品に近く、経済産業省の所管かと直感的には考えた。しかし、登録も金融庁が担当し、コインチェック事件が起こってから厳しく対応を始めた。



仮想通貨取引所についても、取引所では公的なイメージもあり、「仮想通貨交換業者」として定義している。交換会社ともいわれている。

現在、日本では交換業者として16社が登録され、16社が未登録のみなし業者であった。金融庁の厳しい検査によって、5社が撤退し、金融庁が求める水準に達しない業者は、登録業者であっても強制的にITや金融大手の傘下に参加することになる。まもなく一斉処分も出る。

米国ではICO(仮想通貨技術を使った資金調達)のイメージのせいか、モノではなく「証券」扱いとして、SEC(Securities and Exchange Commission:米国証券取引委員会)の所管となる。厳しいSECが、仮想通貨および仮想通貨取扱業者や金融機関等のブロックチェーンの仕組みをどう評価するかに筆者は注目している。

すでに、欧米の金融業界では、BNPパリバ、スイスの証券取引所SIXグループ、そして証券保管振替機関DTCCも、コストの面をはじめ、既存技術で対応可能であることが確認されるなどして、撤退が相次いでいることを軽視してはならない。


http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55133







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