仮想通貨長者 納税資金不足に注意







巨額の流出トラブルなどが相次いだ仮想通貨をめぐり、今年の確定申告では、多額の利益を得た人の動向が注目された。「仮想通貨元年」といわれた昨年は価格が上昇、「1億円以上もうけた人が続出」などと話題になったが、その後の急落で、納税分が確保できない恐れが表面化したためだ。利用が広がる一方、税の認識は浸透しているとはいえず、税理士らは「利益が出れば課税されることを忘れずに」と呼びかけている。


■一時は20倍超に

 「税金のことを考えないと大変なことになるぞ」。愛知県内に住む男性会社員(44)は知人にそう言われ、税理士事務所に駆け込んだ。

 仮想通貨は、その時点で同じ価値を持つ現金や他の仮想通貨と交換(購入)して取引する。男性は昨年1月、新しい決済手段などとしての「可能性を感じた」と、10万円で「ビットコイン」を初めて購入した。

 さらに約10種類を買い、昨年中に計約700万円分の仮想通貨を手にした。その後のブームで急騰し、一時は購入価格の20倍以上の1億5000万円ほどにふくれあがったという。

 100回以上取引をしたという男性は税理士に相談し、年末までに一部を日本円に戻して1000万円ほどの利益を確定。保有したままの1億円分も、いずれ日本円に替えたり、他の仮想通貨に交換したりするつもりだが、価格が2000万円に下がったため、「上がるか分からないが、しばらく様子を見る」という。


■価格変動激しく

 仮想通貨取引で得た利益は「雑所得」に当たる。国税庁によると、〈1〉日本円に替えた時〈2〉商品を購入した時〈3〉仮想通貨同士を交換した時――に課税され、年20万円超の利益が出た場合は確定申告し、所得税などを納める必要がある。

 国や中央銀行が発行する通常の通貨と違い、仮想通貨は「利用者が信用していること」しか価値の裏付けがなく、価格が乱高下しやすい。保有する人の大半が投機目的のため、様々な情報で相場が大きく動くのが特徴で、昨年12月に最高値をつけたビットコインは、その後、規制強化への懸念や株安などを受けて暴落。2月上旬には3分の1以下にまで落ち込んだ。

 自動で売買を繰り返す設定もあり、知らない間に無数の取引が成立することもある。仮想通貨の税務相談も手がける山本祥嗣税理士(名古屋税理士会)は「税務上、どれくらい利益が出ているかを把握することが重要だ」と話す。


■税計算法周知足りず

 確定申告は前年分の所得が対象で、仮想通貨の場合は、米国や中国など海外の業者間で取引していれば、日本円に換算して利益を計算しなければならない。名古屋国税局では、昨年分の申告が必要な人は、暴騰して多額の利益が出た影響などから、前の年よりも増えるとみている。

 ただ、利用が急拡大する中、国税庁が税の計算方法を示したのは昨年12月で、確定申告までの周知期間が十分だったといえないのが実情だ。山本税理士は「『通貨』といっても、投機目的の金融商品に近いのが現状で、他の金融商品と同様、税の意識が不可欠だ」と指摘。そのうえで「集める側も、源泉徴収など納税しやすい仕組みを検討してほしい」と話している。

http://www.yomiuri.co.jp/chubu/news/20180325-OYTNT50000.html







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